2012年9月30日日曜日

鷲羽池と法螺貝(北アルプス)

森や山を歩いていると、自分の心の動きがよくわかるようになる気がします。屋久島やアラスカの森を歩いていると、目の前の森を見つめるのと同時に、気持ちが奥深く沈んでいく。時々ふうっと息をつくように気持ちがまた浮かび上がってくる。

しっかり登山のときは気持ちもしっかりクローズドです。鷲羽岳への登りでは登る前からその覚悟が起こります。そういう意味で、とてもいい山歩きができました。森歩きのときとも違って、 呼吸と一歩一歩で精神が打ち込まれているというか。そして山頂手前で一気に開放されました。鷲羽池が見えたのです。

鷲羽池と槍ヶ岳

それから山頂での長い休憩の間、勢いよく開放された心も次第に落ち着き、北アルプスの素晴らしい山並みを眺めて過ごしました。

さて一人の登山者が取り出したのは法螺貝。法螺貝を吹くというのは、人々の我欲を代わりに吹き出すという意味があるとかのお話をその場で聞きました。
でもきっとこうして登ってきて法螺貝を吹いている、今の旅にもオリジナルな意味があるのでしょう、それがこうしてよいお天気で遂げられたのはよかったですね、と思いました。


2012年9月23日日曜日

Coyote復刊!!

雑誌「Coyote」(スイッチ・パブリッシング)が2年ぶりに復刊です!!
http://www.coyoteclub.net/2012/10/275120000.php

「世界はまだまだ不思議に満ちあふれています。」









アジェンデ『精霊たちの家』

冬の静かな屋久島の小さな図書室でアップダイクの『ブラジル』に出会って、今まで読んだことのない南米を舞台にした物語になんだこりゃ、と圧倒されたのが南米文学との出会いの始まりでした。
アップダイクはアメリカの作家ですが、『クーデター』もアフリカを舞台にしているし、その土地のエネルギーを利用した物語の作り手です。

さてアジェンデの『精霊たちの家』。
南米チリを舞台にした物語は、伝説のような際立った人物とストーリーではじまり、やがて現代の恐怖政治へと流れていきます。美少女ローサ、スピリチュアルなクラーラ、情熱的なブランカ、そして現代のアルバ。ひとつのエピソードがまるで勝手に膨らんでいって、お、そうじゃったそうじゃった、と一見もとのところに戻ってくるような語りが絶妙です。

未来は今起こっていることに少しずつ、織り込まれている、そういったことに思いを至らせ、ただ非現実の世界に遊ぶのではないクラーラと、軍事政権化の不合理に押しつぶされるアルバの物語は、昔のこととは片付けられない中南米で苦しんだ人たちに求められた物語だったように思いました。

2012年9月19日水曜日

鷲羽岳・水晶岳(北アルプス)

北アルプスの鷲羽岳(2,942m)・水晶岳(2,977m)に行ってきました。

水晶岳            ワリモ岳           鷲羽岳       (右下三俣山荘)




























夜明けとともに山々を歩き、立ち止まって遠くを眺め、空を見上げたゆるやかな4日間でした。山々の連なりは本当に美しかったです。

穏やかな天気にも恵まれ楽しかったのはもちろんのこと、こうした時間を持つことが自分にとって必要なことなんだと気づき、それがまた静かにしみわたり嬉しさがこみあげてきます。

山旅の記憶を追々メモしていければ。


チングルマ