2012年11月18日日曜日

新井敏記『SWITCH STORIES 彼らがいた場所』

「新潮クレストブックシリーズ」をたちあげ、雑誌「考える人」の編集長だった松家仁之氏と、「SWITCH」「Coyote」を創刊した新井敏記氏の対談を聞きにいったときの話。お二人のそれぞれの仕事への思いなど、少々照れながら、敬愛をこめた笑いの中に進められていました。

話が共通の友人である写真家の星野道夫氏に移ったとき、すっとお二人が静かになってそれぞれの思い出の中に沈んでいくのが感じられました。星野道夫の遺したメッセージを、直接知っている人たちは特に、深く深く受け止めて、日々過ごしている。

私自身アラスカに通うきっかけを考えると、星野道夫の写真や本はもちろんですが、さらにそのメッセージを様々な形で知らせてくれた作品があった、それが旅立つきっかけだと思います。例えば梨木香歩『春になったら苺をつみに』(新潮文庫)のカバーとして織り込まれていたり。

今年も、5度目のアラスカに行ってきます!



神在祭と銀山街道(島根)

5年くらい前、出雲大社と石見銀山を歩く旅をしました。

ひっそりとした秋の出雲大社の町はちょうど全国の神様が集まる「神在祭」がおこなわれており、訪れるまでその日程に気づかなかった怠慢は横において、ありがたい偶然に喜んだことをおぼえています。
諸国の神様たちのお宿として小さなお社が本殿のまわりぐるりにあって、そのひとつひとつに、ていねいにお供え物がありました。



こちらもちょうど登録されたばかりの世界遺産・石見銀山。調べてみると、日本海の鞆ヶ浦へと銀を運んだ道がトレッキングコースになっているらしい。そこを歩きたい!温泉津温泉への道もありますが、時間の関係から鞆ヶ浦への道を歩きました。あまり頼りにならない地図を頼りに、ちょっとしたオリエンテーリングのようにわくわくと道をさがしながら、かつてシルバー・ラッシュで栄えたという鞆ヶ浦へたどりつきました。

電車の時間まで琴ヶ浜と馬路の集落を歩き、醤油を作っている建物を見かけてそっとのぞいてみると、中を案内してくださいました。醤油の大きな甕が地面にぼこぼこと埋まっています。年のいったおばあさんが醤油ができるまでの工程をあちらこちらと案内してくれている間、だいこくさまのような人相のおじいさんがたたずんでいました。