2016年6月26日日曜日

青山潤『アフリカにょろり旅』

ハノイに行ったとき、バックパッカー3人組(偶々ハノイで合流した、もともと別々の旅)に会って、その会話のテンポや内容に、なるほどバックパッカーという人たちはこういう風に旅をするものか、とちょっと目からウロコで、その旅をかきたてるものとか、どういう思いで、などを知りたくて質問を重ねていたらかえって不審がられてしまった。イヤ私は旅といえば大抵ぼんやりとでも目的の場所とかがあって、一旅一場所でできるだけ長く過ごすものですから、としどろもどろになってしまった。2~3日で、ポイントを移動していく旅という、流れていく指向エネルギーに直に出会って、とりあえずこれからもよき旅であることを祈った。いろんな旅の姿勢がある。

研究のためのフィールドワークとなるとどうだろう。これは探検と学術調査の違いなどについて書かれ議論された昔から、その様子は変わらない気がする。何か研究とか大義名分が付くとその実際についても、一般的に、高尚で、結果としてのデータがあって、でもその分現実味がなくなる。もちろん実際に研究者に会うとその地道な努力や研究対象へ向けられたあふれる感情に圧倒されたりするのだけど。(アラスカで会ったキノコ研究者の話。)でもなかなかそんな機会はない。

青山潤『アフリカにょろり旅』は、そんな機会を与えてくれる。フィールドワークというのがいかに危ないか、命がけか、現実を乗り越えていく力が必要か、これでもかこれでもかと伝えている。生物研究者を目指す人向けにモチベーションを高める書にはならないかもしれないけれど、これを楽しんでさらに自分もやってみたいと思えればまず精神力テストには合格か。バックパッカーの西洋人2人連れを見かけて、俺たちのほうが上級者だ、と高笑いする場面には何かよしよし。。と言ってあげたくなってしまう、これが本として読ませてもらえる側のずるさでよさです。