2014年2月23日日曜日

ふきのとうとDNA

梅の香りがふっとだたよう季節になりました。黒い荒い肌の木に散りばめられた白い梅の花は青い空によく映えます。
春、春、と連呼されるのに反してもう少し丸まって冬に閉じこもっていたいという頭を自然に持ち上げさせてくれるのが梅の香り。

雪解けのころに山あいを旅をするのが、気がつけば毎年の習慣のようになっている。街からぽんとたどりついてふらふらと歩きだしてから、初めて見つけたふきのとうで何かがぱっと破裂するように喜びが広がれば、あちこちにあるふきのとうが目に入ってくる。

ふきのとうに対する喜び、それは苦味や美味を瞬間に思い出しているのだけれど、その感情をいま見つめてみるとちょっと不思議な感じがします。好きな食べ物を単純に喜ぶというより、もっと根源的なDNAにすりこまれた喜びというか。いつごろからふきのとうが食べられていたのかは知らないけれど、昔の人が迎えた春の喜びにふと思いをはせることができる。五感が今よりももっと豊かであったであろうころの話。



かたくりの花