2012年7月9日月曜日

野尻抱影『日本の星 「星の方言集」』

カシオペヤ、オリオン、レグルス、プロキオン、アルデバラン、、、思い出せば星の名前は不思議にどんどん浮かんできます。その響きもすてきな星の名前も、ギリシャ・ローマの神話からきているわけで、そのことを少しも疑問に思わなかったのですが、昔から日本のその土地その土地で伝えられてきた星の和名を生涯かけて集めた人がいました。

野尻抱影『日本の星「星の方言集」』(中央公論文庫、1976年)底本は昭和32年

たとえばカシオペヤ座のWをいかり星(”イカリボッサン”)、スバル(プレヤデス星団)を羽子板星、ふたご座をゾウニボシ(旧正月の頃で雑煮が食べられる)と呼ぶなど、生活に結びついた呼び名がついている星の名前とその由来について、伝承や「85歳の物識りの老人を訪ねた手紙」などとして著者の元に集まってきます。

季節による時刻の変化や暴風雨の前兆の星など、漁師の目印になったものが多いように感じられます。日本のスター・ナビゲーションのことにも思いをはせました。