2012年10月21日日曜日

いしいしんじ『プラネタリウムのふたご』

ひやりとした空気ただよう秋の季節に思い浮かぶ本は、いしいしんじ『プラネタリウムのふたご』です。

プラネタリウムに捨てられていた双子の兄弟が、一人は星の語り部となり、一人は旅回りのサーカスで奇術師になる物語。

いしいしんじの創作作品に共通して流れているのは、存在のさびしさ、というどうしようもない現実でだましだまし生き抜いていく、ということだと思います。
作品は皆、どこの国のどの時代かわからない、童話のような話でありながら、読み手にも覚悟の姿勢をいつの間にか求めさせる作家のような気がします。エッセイを読んでいると飄々としたおじさん、という感じですが、こわい作家です。