2012年5月17日木曜日

旅について考えること

何人かの初対面の人たちに会ったときに、旅が好きだという話をしたら、旅はあなたにとってどんな意味がありますか、と聞かれました。
初対面の人ばかり、ということもあり、答えに窮してしまいましたが、その場がしんとするのもおかまいなしにしばし考え込み、・・・いろんな生き方の人に会えることでしょうか、という言葉がやはり口から出て、とまどうような失笑をかったような気がしてもっと軽く答えればよかったと後悔するのでした。

旅は非日常を味わえる、という表現にいつも立ち止まってしまいます。非日常?
ふらふら歩きながらその土地の自然や人の暮らしに入り込んで、世界を見ながらも気持ちが内面に深く沈みこんでいく、というのはイギリス人のトラベル・ライターであるブルース・チャトウインの作品を読んでいても共感するところで、そういう意味では、旅は非日常であると思います。

御蔵島




















未踏の地のような名前もないアラスカの大地を、はるか昔に歩いていた人たちがいた。文字を持たず、記録を残さず、形を残さず、口承の物語を受け継いできた、そういうことにここ数年ひかれてきました。すぐれた芸術としてのトーテム・ポールでさえ、いつの日か倒れて海や森に還っていくことを織り込んで立てられている。

身軽になって彼らの旅に私も連なりたい、というのが究極の旅の目的、願うところだと思います。