2012年2月25日土曜日

池澤夏樹『明るい旅情』

旅のサーカス団に生まれたわけでもなく、移動のない子どものころだったのに、なぜ今こんなに旅にときめくのか、もうごまかしようがなくなりました。機が熟してくると、いそいそと出かけていきます。

池澤夏樹『明るい旅情』(新潮文庫、1997年)

雑誌に掲載された紀行エッセイをまとめたもの。その足跡は世界に広がっていますが、”足”でその土地を旅した感が伝わってきます。著者の旅にひっぱられるのです。

何度も読み返している本ですが、今回気になったのは、イスタンブールの話。著者はよく知るギリシャからイスタンブールを旅します。都市への入り口をどうとるかで旅も違うとは気づかなかった。
東ローマ帝国を破りオスマン・トルコ帝国を築いた遊牧民について思いをはせるとか(移動性の遊牧民気質は在所に残っている)、縦横に広がる旅を味わうことができます。